北信越エリアを中心に、図研製品のソリューション営業を担当する白川和己。ソリューション提案のスキルを高めるために転職した白川が、図研の営業として成長するまでの軌跡を追う。
お客様と対面で話すからこそ、
見えるものがある
白川の前職は、部品メーカーの営業だった。主な商材はモーターを積んだ組み込み部品。文系出身ながら、日本のモノづくりの最前線で仕事をしてみたいという思いがあり、汎用性の高いモーター部品は提案できる幅が広いだろうと考えての入社だった。
しかし入社後、営業として最も重視されているのは、顧客である完成品メーカーの生産を“途切れさせないこと”だと知る。
前職ではお客様の生産計画を把握し、必要となる部品を十分に供給できるよう、社内に調整することが求められました。新規提案をする場面もありましたが、製品の特性上、一度採用された部品は複数年に渡り使用されるため、提案の機会は多くありませんでした
営業としてソリューション提案のスキルをもっと磨きたい、という思いを持つようになった白川は転職を決意。企業研究をするなかで、初めて図研の存在を知った。
図研のことを知った時は、親近感を覚えましたね。当時扱っていた商材にはプリント基板が搭載されていましたし、社内でCADを使う場面も見ていました。あのツールの会社なのかと。選考が進むなかで仕事内容を知り、ここならお客様に寄り添った提案ができるだろうと、入社を決めました
図研に入社後、白川はエレクトロニクス設計ソリューション『CR-8000』シリーズや、エンジニアリングデータマネジメントシステム『DS-CR』、MBSEのモデリングツール『GENESYS』といった製品のソリューション営業として、北信越地区を担当することとなった。
だが白川が入社したのは、2020年の半ば。新型コロナウィルスの感染が拡大し、顧客を訪問することは難しくなっていた。初めての商材と、慣れないオンライン営業で、最初の半年は苦労の連続だったという。
オンラインでの営業は相手との距離感が測りにくいうえ、用件を単刀直入に伝えがちで、雑談などの“余白”がありません。お客様の質問の意図をつかみきれず、持ち帰ることも多かったですね
オンラインでは顧客が抱える本当の課題を把握しにくいこともあり、営業部の方針は「可能な状況ではなるべく対面でお客様と打ち合わせを行う」へと変わった。感染が落ち着いたタイミングで、ある顧客の元を訪れた白川は、天井からトントンという音がすることに気がついた。
以前から担当していたお客様でしたが、このとき初めて、設計フロアのすぐ上の階に製品を実装する生産ラインがあることを知りました。実装向けのツールをあまり提案していなかったことに気づき、その場で担当者を紹介してもらったのです。その場にいるからこそ得られる情報は多いので、北信越までの移動は時間がかかりますが、お客様と直接お会いすることの重要性を感じています
「図研のソリューションを知ってほしい」という強い思い
図研に入社した白川が感じたのは、提供するソリューションの幅がとても広いことだった。
各種設計支援ソリューションや、エンジニアリングデータマネジメントなど、ツールのランナップは多岐に渡り、それぞれに多彩な機能が搭載されている。入社後は教材動画で学んだり、SEや開発部門に話を聞くなどして、製品知識を吸収していった。
一方で、ユーザーのことも理解しなければ、顧客課題にマッチした商材を紹介することはできない。白川はいくつも失敗を経験した。
すでに図研のCADシステムを導入している医療機器メーカーを訪問したときのことです。新たな設計ツールを提案したのですが、あまり話が噛み合わない。よくよく調べてみるとそこは実装工場で、設計はしていない。設計を担当する別会社から受け取った図面をチェックすることを目的に図研ツールを導入されていたのです。設計業務の話をしても響かないわけです
また、新規顧客への提案では、図研のソリューション全体を説明する機会もあった。「多彩なソリューションを提供できることを知っていただきたい」。その強い思いは白川に“力み”をもたらした。
せっかくの機会だからと、あれもこれもと幅広くソリューションの説明資料を準備しました。しかし、上司に資料を見せたところ『これでは多すぎる』と。お客様が何に困っているのか、絞り切れていないことを指摘されました
いきなり全ての製品の機能を説明しても、先方の記憶には残らない。あふれる情報によって話が散らかってしまい、実りある時間にはならない、ということだ。
「お客様の課題を把握していないから、すべてを紹介しようとしているのでは」と上司は指摘する。図星だった。まずはお客様のことを知らなければならない。白川は、前職の新人時代にかけられた言葉を思い出していた。
当時の上司は『まずは話を聞いてくること』と何度も言っていました。新人のころは『営業は話すことが仕事』と思っていたので、言葉の意味をよく理解していなかったのですが、図研での提案活動を経験してやっと腑に落ちたのです
ソリューション提案の力を磨くために図研に入社した。だが、白川はこの強すぎる思いから、提案活動が前のめりになってしまい、お客様のニーズに寄り添えていないことに気がついた。
今でも『図研のソリューションを知っていただきたい』という思いは変わりません。ただ、気持ちだけ先行しても空回りしてしまいます。お客様の状況を踏まえ、この順番で提案していこうと、ストーリーを立てるのが大切だと学びました
ソリューション営業の難しさと面白さ
だが「顧客の課題を把握する」と一言でいっても、簡単なことではない。
図研の製品を導入されているお客様は、悩みごとや困りごとが一社一社異なります。製品が幅広いゆえに、お客様の幅も広い。それぞれで異なる課題をきちんと理解し、それを解決できるような提案が必要になります
前職では、一度商品を使っていただくことが決まると、まとまった数を受注できた。だが図研では、ひとつひとつの案件に時間をかけて提案しなければならない。「そこが図研の営業の難しいところであり、面白いところです」と白川は話す。
前職と比較して図研の営業部門では、お客様にヒアリングした内容や、過去の訪問履歴のデータ、他の営業担当からの情報などの情報共有がとても多いんです。この情報を活用して、過去のお客様の事例に似ているお客様がいると、前もって『こういうことに困っているのでは』という仮説を立て、提案を進めることができます
ソリューションの手段を持っていることと、それをユーザーのために実際に提案できることは、単純なイコールではない。ようやく図研の営業のポイントを理解し始めた白川は、週の半分を北信越で過ごし、顧客の元に足繁く通っている。
『図研の担当者はよく来て話を聞いてくれるね』とお客様から言っていただけることもあります。製品を導入し運用していただくまで1年以上かかることも珍しくありません。だからこそ、お客様に伴走し納品したときの達成感や、その後お客様から『効果が出ている』というお声をいただいたときの喜びはとても大きいですね。まさに、転職してやりたかったことができていると感じます
今後の目標は、顧客の期待に応えられる営業になることだと白川は言う。先輩たちの営業スタイルを取り込みながら、自分なりの提案を模索していく。よりよいソリューションを提案できるように。
図研のソリューションは本当に現場で役立つものだという実感があります。その中で、お客様にマッチしたものをいかに届けられるかが、腕の見せどころだと思っています
お客様のニーズや課題を理解し、最適なソリューションを提案するために、今日も白川のチャレンジは続く。
Questions & Answers
- 入社前後で図研に対するイメージは何か変わった?
- 入社前はCADの会社というイメージでしたが、想像していたよりもソリューションが多岐にわたっています。お客様の課題解決に向けて、さまざまな角度から提案ができる環境が整っています。
- 図研の好きなところは?
- 若手にいろいろ任せてくれるところが好きです。また、周りの方からサポートをしてもらえるので、働きやすい環境であることも気に入っています。
- 職場にはどんな同僚・先輩・上司が多い?
- 上司や先輩は気さくで、頼りになる方が多いです。困っているとさまざまな視点からアドバイスをくれます。自分の部署以外の方にも、所属を問わず相談に乗ってもらえます。
- 学生時代の経験が役に立っていることは?
- 居酒屋での接客経験が役に立っています。お客様や社内の方と積極的にコミュニケーションを取ることを意識していますが、この経験があってこそだと思います。
- 休日はどのように過ごしてる?
- 最近はジムや草野球など、意図的に体を動かすことが多いです。また、友人と飲みに行くのも好きで、よく飲み屋街に出没しています(笑)