最近の医療機器開発における、
古くて新しい課題:EMC問題
医療機器は人々の生命や健康に直結することから、それに応じた各種規制・規格に準拠した開発を行う必要があります。しかしながら、メーカの製品開発プロセスにおける EMC 問題への取組みは、一部の会社をのぞいて必ずしも他の業種と比較して先進的なものとはいえない状況があります。一方、多くのコンシューマ向け量販製品のメーカでは、開発期間、コスト、小型軽量化について極限の努力を余儀なくされており、これらの厳しい要件と EMC 品質を両立するため、設計プロセスにおいても様々な工夫をされています。こういった他業種でのノウハウを医療機器開発においても活かさない手はありません。
日本の医療機器は現在、品質・性能ともに世界でもトップクラスであると言われていますが、厳しい市場競争に加え、小型・軽量化、デジタル化などが進展していく中でそれを維持し続けるためには、従来の EMC「対策」の拡充だけではなく、「EMC 品質を設計で作りこむプロセスづくり」が必要だと考えます。本稿では、私達がさまざまなエレクトロニクス企業との取組みを通して得た経験をもとに重要だと考える点を解説しています。